ゴルチエの広告などでおなじみ、キッチュで耽美な世界が売りのゲイ・アーティスト、ピエール&ジル。
彼らがタイを旅した際の写真が、素敵なアートに。

あまり写真をいじることなく、素朴な仕上がりになっている。
タイの少年の笑顔がかわいらしい。
完成された広告の作品も好きだけど、こっちもいいな。

昔買った写真集なのだけど、タイに行く際に思い出してひっぱり 出したのだった。
大切にしていたけど、ある人にプレゼントしたくなってあげてしまった。あたしが持っているより、本も幸せかなあと思った。

千年の愉楽

2005年2月14日 読書
ISBN:4309403506 文庫 中上 健次 河出書房新社 1992/10 ¥599

中上健次が好きだ。地縁・血縁絡み合う、人間たちの描写。汗臭さ・男臭さ。繰り返される交歓シーン。中上の世界は、血と性と生だと思う。読んでいると、熊野の地の神がかった空気を感じる。

彼のファンに人気の高いこの短編集「千年の愉楽」でも、上記の世界は例外なく生きている。中上が描き続けた路地の、不思議な血統を受け継ぐ中本の一族を、人物を変えて続く物語。

文脈がわからなくなるほど長い一文や、緻密な物語り構成も中上の魅力だと思う。
ISBN:4797490748 文庫 盛田 隆二 新風舎 2003/10 ¥620

う〜ん不思議。読書中も不思議な感覚になる小説なのだ。
「〜〜した。〜〜だった。そして〜〜〜だ。」という調子の短文の連続、
淡々と起こった出来事だけを細かく記述、
登場人物の気持ちの描写はほとんどない。
ただただ、年表のように下諏訪の村から逃れてきた
一人の男からはじまり、現代にまで続く一族の歴史を描写し続ける。
その人物設定はとても細かく執拗で、中上健次を彷佛とさせた。
あとがきで作者が「若かったから書けた作品」と書いていたが、
たしかに書き手の情熱と無垢さを感じた小説。
ISBN:4532191858 文庫 小泉 武夫 日本経済新聞社 2003/07 ¥680

会社に入ってすぐの私の重要な仕事は、
毎日数社の新聞を読み、大事な記事を集めてまとめることだった。
真面目に関連記事をピックアップしていたかというと…
もちろん、ちゃっかり面白記事もチェックしていたのだった。
その中でも本当に面白く、毎回わくわくしながら読んでいたのが、
日経新聞に連載されていたこの「食あれば楽あり」のコラム。
「味覚人飛行物体」とあだ名をつけられるほど食いしん坊の、
東京農業大学教授・小泉先生の食への飽くなき探訪、そしてシズル感満載の文章…
「情熱大陸」にも取り上げられていた小泉先生は、
文章の通りのおおらかさで、そしてものすごい大食漢だった。
そしてなにより、書くことにとてもこだわる人で、
わたしは感心してしまったのだった。
東京農大行こうかな、と一瞬思わせた一冊。

人間ども集まれ!

2005年1月31日 読書
ISBN:4408394599 単行本(ソフトカバー) 手塚 治虫 実業之日本社 1999/02 ¥1,575

さまざまなヒット作品でマンガの神様と言われる手塚治虫だが、作品ごとに雰囲気や画風の違いがあるのは、手塚氏が流行や社会情勢を非常に気にする人だったからだとテレビで見たことがある。
これは手塚氏の作品の中でも「大人マンガ」に類する作品で、傑作といわれているものの一つ。連載されていたのは1960年代のベトナム戦争当時。
主人公の天下太平は不思議な精子を持つ男性で、その精子から生まれた子供は男でも女でもない「第3の性」を持つ。生殖能力がなく、主人の命令を忠実に守る性質から、人間兵器として利用されていき、人間社会に影響をおよぼしていく…といったストーリーが、あっさりとした4コマ風の絵で展開されて行く。
この完全版にはオリジナル版も掲載されていて、途中からまったく違うものになっている。手塚氏の意図を読み解くのも面白いかもしれない。
ISBN:4939015483 単行本 伏見 憲明 ポット出版 2003/03 ¥1,848

私にはゲイの友達が何人かいる。彼らは男性だが、性的対象が男というだけで、なんら他の友達と変わらないのだけど、一度きちんとそういう本を読みたいと思い、手にとった。
ゲイライフの手引書として、自身もゲイである執筆陣が「カムアウト」「親との関係」「病気について」「ハッテンバ」などの様々なトピックスについて書いている。これからゲイとして生きようとする人のための入門書といったところだ。
文中にあったが、今はゲイがそれほど特別な存在でもなくなり、ネットやメールの発達で、今の20代以下の人たちが「自分がゲイだと気づく過程での苦しみ」はそれ以上の年代の人たちより明らかに軽減されてきてるそうな。
むしろカムアウトしたそこからの人生を、どのように充実させるかが今のゲイの人たちの中での問題となっていると知った。もう少し深堀して知りたいなと思った。
ISBN:4901873423 単行本 枡野 浩一 インフォバーン 2005/01 ¥1,260

世界一売れてるカリスマ歌人として人気の枡野浩一氏が、
ブログでの投稿短歌バトルから選んだ優秀作を単行本化。
「笑い」「悲しみ」「結婚」「恋」などのお題で作られた、
現代短歌ならではの作品がずらり。

表紙をあけた一発目の短歌が
「外に出すのが愛なのか中で出すのが愛なのか迷って出した」ですよ。
大笑い。
まあ下ネタ短歌ばかりじゃございません。
でもお題が「こむずかしくない」ところが枡野人気および
現代短歌人気のミソなのだろうと思う。
俵万智以来の短歌界ニューウェーブなのではないだろうか。

それにしても短歌を読むたび、言葉の持つ繊細さ、奥深さを実感させられる。
そしていつも「かなわない」と思うのだ。

友へ チング

2005年1月24日 映画
DVD ポニーキャニオン 2005/03/02 ¥2,625

昨日テレビでやっていたので見てみた。
韓国史上最大の観客動員数を記録したということで、
前から少し気になっていた映画だ。
70年代から90年代にかけての韓国の動乱期を生きた
幼馴染みの四人が、それぞれの道を歩んでいくというストーリー。
互いに争う関係になっても心の底では「お前はチングだ」と
友情を持ち続けている…
そんなところに、日本の「仁義」にも通じる、
韓国人の恨(日本でいう情)を感じた。
この舞台がソウルではなく釜山であるところもポイント。
これといった観光地もない港町だけど、
ノスタルジックでざらついた哀愁を醸し出すには
最高の土地だったんじゃないかと思う。
ユ・オソンが最高にかっこよかった。

少子

2005年1月22日 読書
ISBN:4062739097 文庫 酒井 順子 講談社 2003/12 ¥490

 
「負け犬の遠吠え」でお馴染みの酒井順子氏の、少子化についての考察。
現代日本女性がなぜ子供を生まなくなったのか?女性のさまざまな本音から理由を述べる。
「痛いから」「めんどくさいから」「シャクだから」など
いろいろな理由が挙げられているのだけど、
実際子供を産んでない人の多くは
「結婚もしたいし子供もほしいけど、自分ではどうすることもできない」人の方が多いのではないかと思う。私の周りを見ても「結婚したい」「子供がほしい」と言っている人の方が断然多い。
判断価値が形成される前に親が結婚相手を決めて、結婚させる…みたいな時代は、少子化防止にはけっこうよかったのかもしれない。
ISBN:B0006HU5A2 − マガジンハウス 2004/11/20 ¥680

この雑誌にはかつての「オリーブ」と共通するものがある。
読者に、「わたしもこうしたい」という啓蒙の暗示をかけることだ。
こんな人生って素敵!こんな風に暮らしたい!
…これがこの雑誌の罠なんだとわかっていても、
「あたしも結婚したら、好きなことをしながら、こんな素敵なおうちに住むの!」と真剣に思ってしまう自分がいる。やるな、マガジンハウス。
そして毎号買ってクウネルは私の本棚に蓄積されていくのだ…。
リンカランや天然生活などの他の生活啓蒙雑誌より、群を抜いてマル。
ISBN:4883924815 文庫 平間 康人 彩図社 2005/01 ¥580

表紙の写真の子供の、素晴らしく悪い目つきが気になり、思わず手にとってしまった。
内容は、バックパッカーとしてあちこちアジアを旅している筆者の冒険談。

旅先でバックパッカーと知り合うと、
●いかに安く旅しているか●いかに情報を持っているか●いかに貴重な経験をしたか をアピールしたがる人間が多い。
超うっとおしいのだが、この本は文書にまでして出版してしまったのだ。
ある意味すごいといえるだろう。
この本を読んで「アジアは危ないから行くのを止めておこう」と思う人がいたら、とても不幸だ。
偶然に事件に巻き込まれてしまう人もいるが、
たいがい危険な体験を好む人間は、わざわざ危険な臭いを感知して飛び込んでいっているのだから。

中には面白い体験談もあったのだが…
作者の顔がタイプだったら、もっといい感想を書いていたことだろう。

柔らかな頬

2005年1月9日 読書
ISBN:4062079194 単行本 桐野 夏生 講談社 1999/04 ¥1,890

18歳で北海道の田舎を棄てた主人公が、不倫の末やってきた北海道で、自分の娘を見失う。
何の因果か…と精神的に追い詰められ妄想と現実のはざかいで悩み…

桐野夏生の主人公は、いつも気高く、美しく、もろく、強い。
エドガー賞候補の際、堂々として美しかった作者自身を見て、この人の小説の主人公は、作者自身の分身なのではと思った。
ISBN:4093797218 単行本 田沢 拓也 小学館 2004/11 ¥1,470

相方が会社を辞めた。
私は会社を辞めた経験がないのでわからないが、
とってもパワーがいることような気がする。
やめた人たちに聞くと「本当に納得して辞めた時は、全然後腐れがない」というが。

ところで今の若者世代が会社を辞めるのと、団塊の世代が会社を辞めるのでは、
全然意味合いが違うのではないかと思う。
フリーターも転職も当たり前の世代と、年功序列・終身雇用が当たり前の世代。
「働く」ことに対する心構えが最初から違う気がする。

この本では基本的に、第2の人生を送るべく会社を辞めた
団塊世代のサラリーマンのインタビューを掲載している。
わりとみなさん、安全策をとっていらっしゃる。
「子どもも成人して、退職金もあるから、イッチョ事業でもやるか」みたいな。
安全パイを持った人たちの冒険は、あまり歯切れのいいものでなかった。
それと、もう少し一人一人の人を掘り下げてほしかったし、もっといろんな世代のことが知りたかった。

Dragostea Din Tei

2005年1月7日 音楽
O-Zone CD Polydor 2004/08/30 ¥1,377

年末タイに行ってきたのだけど、
そこでゴーゴー入り浸り。(しかもボーイの方)
その時の○メ○メタイムにかかっていたのが、
この超ノリノリミュージック!
友達がそのゴーゴーでCD購入。即焼きです。

モルドバ出身のイケメソ3人組O-ZONEのDragostea din teiは
ヨーロッパでも大ヒットしたそうな。
そこでタイにも送り込まれたのだろうか…
この音楽がかかると、あの映像が頭にフラッシュバック。。。
ISBN:4478051119 単行本 地球の歩き方編集室 ダイヤモンドビッグ社 2004/03/06 ¥1,764

これは読書ではないのだけど。
昨日突然タイに行くことを決め、速攻でチケットを手に入れた。そして明日旅立ちである。我ながらの瞬発力である。
チケットを手に入れたその足で、人生で4冊目となる「地球の歩き方タイ」を購入。
1冊あれば必要ないやん。。と思いはするのだけど、毎年更新される情報が気になるし、極度の方向音痴&心配性なので、これは保険とでもいおうか。
町中で広げるのにはしのびない本なのだけど…(この本を持ってると日本人だとばれてぼられるなんて場合も)

ほんのわずかな時間だけど、
日にちも曜日も気にしなくてよいひとときが過ごせるのが本当にうれしい。

ひさびさに

2004年12月24日
長年のお友達と二人忘年会をしてみた。
お酒は好きな方だけど、
最近はめっきり ビール一杯or2杯→焼酎水割り薄め
というパターンだった。
これだと適度に酔えて次の日も全く残らない。
でも先日は白ワインをボトルでチョイス。
ワインはもともと好きだけど、
最近は全く飲みたいと思わないことが続いていた。
でも寒くなって冬の料理が出てくると、
やっぱりワインが恋しくなる。

で 調子のってガバガバ飲んでいたら
すっかり酔っぱらってしまった。
気心知れた友と酒。
心地よすぎて次の日はダウン。あらら。
これから忘年会も増えるし、気をつけようっと。

おぞましい二人

2004年12月21日 読書
ISBN:4309268005 単行本 柴田元幸 河出書房新社 2004/12/21 ¥1,050

こんな絵本を読んだのははじめて。
目をそむけることができない。
とても冷たく、さみしい。
ゴーリーは、なぜこんな絵本を書いたんだろう?
実際起きた事件に対しての怒りなのか、
誰にでも可能性があるってことなのか。

岡崎京子の「私は貴兄のオモチャなの」に掲載の「3つかぞえろ」ににてる。
それと、ゴーリーの絵が白黒なので、
韓国連続殺人犯のユ・ヨンチョルの絵を思い出した。
でもこの本はなぜか色を感じさせたんだけど。
ISBN:4480088644 文庫 赤松 啓介 筑摩書房 2004/06/10 ¥1,260

夜這いの民俗学
夜這い性愛学

「ムラの中では夜這いしあいが当たり前」
「誰の子か分からなくてもムラの子として育てる」
「男は11か13歳になると年上のオバハンに性教育(実体験)された」
「女の子は13歳頃初潮があると祝いをし、夜這いさせた」「祭の夜は無礼講」
「ザコネで乱交」「結婚は3、4度が当たり前」…
などなど、今の日本人の感覚からするとびっくりするような記述の連続。
これが地方のムラでは高度成長期前まで続いていたというのだからさらに驚きだ。
じゃあ、今の日本人の「結婚するまで処女」「一生連れ合い一人」「性は秘め事」
感覚はどこからやってきたの?というと、
明治政府の教育勅語・修身教育によって作られたものらしい。
思えば「一夫一婦制」とか「処女性」を大切にするのって、
きわめてキリスト教的だものな。
夜這いの文化は、村落共同体の維持や宗教的な部分で深く関連し、
発展してきたのだろうと著者の赤松氏も書いている。

この赤松啓介さんは、かの有名な民俗学者・柳田國男が一切触れなかった
「性の民俗学」を専門にずうっと研究していた人である。
解説の上野千鶴子氏によると、赤松氏は90年代に入ってから
「赤松ルネッサンス」として大ブレイクし、その後、
宮台真司氏や大塚英志氏らにも影響を与えているそうな。
でもこの赤松さん、実体験調査もずいぶんされたようで
「オレは10歳で経験した」とか「夜這いみたいになんでええもんをなくすんや」とかただのエロ親父としか思えない御意見を多数書いてはるので、
「この本ほんまかいな」と疑いたくなる。
研究書というより「私性活白書」になりかねない部分もまた楽しく読めた。笑

日本の朝ごはん

2004年12月18日 読書
ISBN:4101493219 文庫 向笠 千恵子 新潮社 1998/05 ¥580

「なに?ワア!朝ごはんの会」という、みんなで朝ごはんを食べる会に誘われた。
あたしは朝ごはんが大好き。毎日必ず食べる。
一番からだに染み入るごはんだと思うし、
体の中で食べたものがじわん、と栄養になっていく気がする。
飲んだ日の次の朝、熱いお味噌汁を一杯。ふう〜っ。
最高のリフレッシュなんだよね。

というわけで、この本を再読。
この向笠千恵子さんはあたしの大好きなフードジャーナリストさんだ。
日本各地の家庭に向笠さんがお邪魔して、その家庭の朝ごはんをレポート…いわゆる「突撃!となりの朝ごはん」なのだけど、またそれぞれの家庭の朝ごはんの豊かなこと!うちの即席朝ごはんなんて「餌」レベルなのかもしれない。
あまりにおいしそうな記述に、よだれ量産。
ISBN:4277661416 単行本(ソフトカバー) 平松 洋子 雄鶏社 2000/01 ¥1,260

先日、とってもおいしいタイ料理屋さんに行った。
ドアを開けるとむわん、と生あたたかくて甘ったるいような
懐かしいタイの香りがして、思わずうう、興奮。
それにタイ人の奥さんが作るお料理はどれもとってもおいしくて、
在日タイ人の皆さんが集まるのもうなずけたのでした。

ところで、そのおいしい料理を一緒に食べていた友達gomaちゃんに
「タイ料理のベースって何なのだろう?」と聞かれて、
あたし、タイ行ったことあるし屋台大好きなのに、作り方知らない…
とショックを受け、本棚から取りあえず引っぱりだしてきたのがこの本。

旅好きのフードジャーナリスト・平松洋子さんの、
家庭で作れるアジア料理の本なのだけど、
アジア各国の味にまつわるエッセイも書かれていて、気がつけば、
作り方より、平松さんの文章の発する旅の匂いにすっかりハマっていたのでした。あらら。やっぱり食べるの専門。
メコンのそばでひとり、熱帯の空気が川の流れと同じ速度で流れる中、
食堂で食べたグリーンカレー。懐かしい。

1 2 3

 

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索